ヒトを活かして戦略をカタチに。『ミュウパートナーズ』

お問い合わせ

ブリリアントジャークとは何か ― 優秀なのに組織を壊す人が生まれる理由

「成果は出しているのに、チームの雰囲気を悪くする」
そんな人をどう扱えばよいのか、頭を悩ませている人もいるのではないでしょうか。

売上や数字はつくっている。
仕事も速く、能力も高い。
その一方で、その人が関わると周囲が疲弊していく。
チーム内では発言が減り、議論が止まり、場の緊張感が高まる。

こういう人は、「優秀だけど扱いが難しい人」として捉えられ、
個人の性格やコミュニケーションの問題として対応されがちです。
そして、特定の個人の問題だけなのであれば、その人を排除することで解決するはずです。

しかし実際には、排除しても別の同じような人が現れ、同じような状況が繰り返されます。

問題は個人ではありません。
その行動が成立してしまう構造にあります。

ブリリアントジャークとは何か ― 成果と関係性が乖離した存在

ブリリアントジャーク(Brilliant Jerk)とは、
高い成果を出しながらも、周囲との関係性に悪影響を与える人』を指します。

ポイントは「能力が低いわけではない」という点です。
むしろ逆で、成果は明確に出ています。
数字も作るし、仕事も速い。組織にとって価値のある存在であることは間違いありません。

問題になるのは、その成果の出し方です。

本人の発言や振る舞いによって、周囲が萎縮したり、意見を出さなくなったりする。
議論は成立せず、特定の人の判断だけで物事が進むようになる。
結果として、チームとしての機能が弱まっていきます。

ここで重要なのは、
「成果が出ている限り、この問題が見過ごされやすい」
という点です。

成果が出ている以上、強く指摘されにくい。
むしろ「多少クセがあっても仕方がない」と受け止められることすらあります。

その結果、関係性に対する影響は軽視され、問題は水面下で蓄積されていきます。

ブリリアントジャークは、
能力と関係性が分離した状態で成立している存在です。

そしてこの分離を許していること自体が、組織の設計の問題なのです。

なぜ優秀な人が組織を壊すのか ― 個人ではなく環境が行動を強化する

同じ人でも、組織が変われば振る舞いは変わります。
ある環境では問題にならない人が、別の環境では強い摩擦を生むこともあります。

これは、個人の性格だけでは説明できません。

起きているのは、行動が環境によって強化されるという現象です。

成果を出すことで発言力が高まり、周囲が意見しづらくなる。
指摘されない状態が続くことで、その振る舞いが「許容されているもの」として定着していく。
やがて、それがその人の“当たり前のやり方”になります。

さらに、周囲も学習します。

「成果を出せば、あのやり方でも許される」
そう認識されれば、同じような振る舞いが広がっていきます。

この時点で問題は個人を超えています。

特定の人の振る舞いではなく、
その振る舞いが成立し、再生産される環境が問題になっています。

優秀な人が組織を壊すのではありません。
その行動を止めない環境が、結果として組織を壊していきます。

評価制度が “ブリリアントジャーク” を生む

実は、ブリリアントジャークが生まれる背景の一つに、評価のあり方があります。

多くの組織では、成果が評価の中心になっています。
売上や利益といった数値はわかりやすく、評価基準として使いやすいからです。

しかし、成果だけで評価する場合、その成果がどのように生み出されたかは見落とされます。

周囲を萎縮させながら出した成果でも、評価は同じです。
協力を引き出して出した成果と、評価上の違いはありません。

この状態では、行動に対するフィードバックが働きません。

結果として、「成果さえ出せばよい」というメッセージが組織に流れます。
そしてそのメッセージは、行動を変えます。

攻撃的な振る舞いであっても、成果につながるのであれば評価される。
周囲もそれを見て学習する。

こうして、ブリリアントジャークは個人の問題ではなく、評価制度によって生み出されれていくことになります。

人が問題なのではありません。
評価が行動をつくっているのです。

見るべきは個人ではなく組織の設計

問題が起きたとき、多くの組織は個人への対応を考えます。

指導する、注意する、配置を変える。
場合によっては、退職を選択肢に入れることもあります。

もちろん、個別対応が必要な場面はあります。
しかし、それだけでは問題は繰り返されます。

なぜなら、構造が変わっていないからです。

同じ評価基準、同じ環境であれば、
別の人が同じ行動を取り、同じ問題が起きます。

ここで必要なのは、個人への対処ではなく、
その行動が成立する前提を見直すことです。

どのような行動を評価しているのか。
どのような振る舞いが許容されているのか。
組織として何を良しとしているのか。

それらが曖昧なままでは、問題はなくなりません。

ブリリアントジャークという存在は、
組織の設計が最適に機能していないことを示す一つの結果です。

組織は人で壊れるのではありません。
設計によって壊れます。

そして同じように、組織は設計によって変わることができます。

では、何を見直せばよいのでしょうか。

ポイントはシンプルです。
「成果」だけでなく、どのように成果を出したかを評価できているか。
その行動や関わり方に対して、組織として明確な基準を持てているか。

この設計が曖昧なままでは、同じ問題は繰り返されます。

では、特定の人の問題に見える現象が、
組織の中でなぜ再生産されてしまうのか。

その構造については、こちらで整理しています。
トキシックワーカーとは|組織を壊す有害社員の構造と対応