ヒトを活かして戦略をカタチに。『ミュウパートナーズ』

お問い合わせ

人が変わる“魔法”は、目的

組織の中で対立が起きると、
私たちはつい「どうすれば相手を変えられるか」
「誰が悪いのか」を考えてしまいます。

人を変えようとすればするほど、
話は噛み合わず、正しさだけがぶつかっていく。
そんな経験をした方も多いのではないでしょうか。

現場で起きている対立を丁寧に見ていくと、
そこには人の性格や能力とは別の、
もう一つの共通点が見えてきます。

それは、
何を目指しているのかが、共有されていないということです。

目的が曖昧なままでは、
それぞれが正しいと思う判断が食い違い、
結果として対立が生まれてしまいます。

一方で、目的が共有されると、
人を変えなくても、
行動が変わったように見える瞬間が生まれます。

その理由を、
「目的」という視点から整理していきます。

人を変えようとすると、対立が起こる

組織の中で何か問題が起きたとき、
私たちは無意識のうちに「人」に目を向けます。

あの人の考え方が間違っている。
あの人のやり方がよくない。
だから、変わってもらう必要がある。

こうした発想自体は、決して特別なものではありません。
むしろ、責任感がある人ほど、
「正しい方向に導こう」と考えます。

けれど、人を変えようとした瞬間から、
話は少しずつ噛み合わなくなっていきます。

なぜなら、
「変える」という行為は、
相手の判断や価値観を否定する形になりやすいからです。

こちらがどれだけ正論を語っても、
相手には「評価された」「責められた」と受け取られる。
その結果、防御が生まれ、
本来向き合うべき話題から遠ざかっていきます。

こうして、
問題を解決したいという善意が、
いつの間にか対立そのものを生み出してしまう。

人を変えようとすると、
対立が起こりやすくなる理由は、
ここにあります。

問題は人ではなく、「目的」だ

人を変えようとして対立が起きている場面を、
少し引いて見てみると、
そこには共通した構造があります。

それぞれが、自分なりに「正しい」と思う判断をしている。
にもかかわらず、話が噛み合わない。

このとき問題になっているのは、
誰かの性格や能力ではありません。
それぞれが見ているものが、違っているだけです。

同じ事実を前にしていても、
何を重視するか、どこに目を向けるかは、人によって異なります。

こうしたズレは、
「人の問題」として扱われがちです。
しかし実際には、
「目的」という上位の軸が不在であることが、
対立を生んでいます。

人ではなく、
まず見るべきは「目的」です。

目的に目を向けたとき、
「どちらが正しいか」という基準そのものが変わります。

「目的」は判断基準となる

目的に目を向ける、というのは、
気持ちを切り替えることではありません。
判断の基準を、別の場所に置くということです。

目的が曖昧な状態では、
人はどうしても、自分の経験や価値観を基準にします。
何を優先するか、どこまで許容するか。
その判断は、人によってばらつきます。

一方で、目的が明確になると、
判断の問いが変わります。

「自分はどう思うか」ではなく、
この目的に照らすと、どうか
と考えられるようになるからです。

ここで起きているのは、
合意でも、納得でもありません。
判断の拠りどころが、
人の内側から、目的という“外側”に移っています。

その結果、
正しさを主張し合う必要がなくなり、
選択肢を並べて検討できるようになります。

目的は、
人を縛るルールではなく、
判断をそろえるための基準です。

だからこそ、
目的が共有されると、
対立は「感情の衝突」ではなく、
前提条件の整理に変わっていきます。

共有された目的が、対立を回避する

目的が判断基準になると、
対立の扱い方そのものが変わってきます。

意見が分かれたとしても、
それは「正しさの衝突」ではなく、
目的に照らした選択肢の違いとして扱えるようになります。

ここで大事なのは、
目的が「誰かの意見」ではなく、
人より上位に置かれていることです。

目的が共有されていない状態では、
人は無意識に、自分の立場や経験を守ろうとします。
その結果、話は人に向かい、
対立は深まりやすくなります。

一方、共有された目的があると、
話題は自然と人から離れます。

「誰が正しいか」ではなく、
どの選択が、この目的に近いか
という問いに置き換わるからです。

こうなると、
対立は解決すべき問題ではなく、
検討すべき材料になります。

目的を共有することは、
意見を揃えることでも、
考え方を統一することでもありません。

対立が起こる前に、
向かう先を同じ場所に置くこと
それが、対立を回避するための、
もっとも現実的な方法です。

人は変えていない。でも、行動は変わる

「結局、人が変わったということではないのか」。
そんな疑問が浮かぶかもしれません。

けれど、起きている変化は、
人の性格や価値観が書き換わったわけではありません。

変わったのは、
判断の前提です。

目的が共有されると、
人は自分の考えを守る必要がなくなります。
評価される対象が「自分」ではなく、
選択そのものになるからです。

その結果、
同じ人が、同じ価値観を持ったままでも、
選ぶ行動は変わっていきます。

外から見ると、
「人が変わった」ように見える。
けれど実際には、
判断の軸が切り替わっただけなのです。

これを魔法のように感じるのは、
人を変えようとしてきた経験があるからかもしれません。

人を動かそうとしなくても、
向かう先をそろえるだけで、
行動は自然と整っていく。

その仕組みを知っているかどうかで、
組織の空気は、大きく変わります。

なお、実際に「人が変わったように見えた」具体的な場面については、
別の記事で紹介しています。

▶︎ 人は変えられない。でも、人は変わる

対立を解決しようとしない

対立が起きると、
私たちは「どう収めるか」「どう解決するか」を考えます。
けれど、その発想自体が、
対立を長引かせてしまうことがあります。

解決しようとするほど、
人は自分の正しさを守ろうとする。
結果として、
話題は目的から離れ、
再び人に戻ってしまいます。

ここで視点を変えます。
対立は、消すべき問題ではなく、
前提が揃っていないことを知らせるサインだと捉える。

目的が共有されていれば、
対立は自然と「調整」に変わります。
何が正しいかを争うのではなく、
どの選択が目的に近いかを並べて検討できるからです。

つまり、
対立を解決しようとしない、というのは、
放置することでも、逃げることでもありません。

人を正すのではなく、
目的を確かめる。
その順番を守ることが、
対立を生まない組織をつくります。

人を正す前に、目的を共有する

人が変わったように見えるとき、
その裏側では、
判断の基準が切り替わっています。

人を変えようとしなくてもいい。
誰が正しいかを決めなくてもいい。

必要なのは、
人より上位に置かれた目的を、共有することです。

目的が判断基準になると、
正義は人から離れ、
対立は起こりにくくなります。

人が変わる“魔法”の正体は、
人そのものではなく、
「目的」なのでした。